藤枝市小石川町の婦人科、小児科、アレルギー科、皮膚科|小石川町小児科・アレルギー科・皮ふ科クリニック

  • HOME
  • 病気のお話
病気のお話

気管支ぜんそく・咳ぜんそく(成人・小児)

気管支ぜんそく(ぜんそく)・咳ぜんそくとは

気管支ぜんそく(成人ぜんそく・小児ぜんそく)は、呼吸をするときにヒューヒュー、ゼイゼイ(ぜんめい)という音が聞こえる呼吸困難を繰り返す病気です。
咳ぜんそくは、かぜの後に咳が2週間以上長引く、特に夜間や早朝に咳が悪化するなどの症状を認め、ぜんそくの前段階とも考えられております。
小児ぜんそくの場合、初めのうちは、カゼをひいたときのみ咳が長引いたり、ヒューヒューと呼吸にともなって音が聞こえる症状ではじまることも多いです。しかし、次第に典型的なぜんそくになると、風邪をひいていなくてもぜんめいが聞こえるようになったり、咳がでやすくなったり、運動をすると同じようにぜんめいや咳がでて、苦しくなることがおこるようになります。
成人ぜんそくは、1日のうちで深夜から明け方にかけて強い咳が出たり、温度差のある場所へ移動したときに咳が出たりするのが特徴です。そういった症状が、長期間続くようならぜんそくを疑う必要があります。
気管支ぜんそくは、風邪などのウイルス感染やアレルギーの原因となる環境性抗原(ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、フケ、カビなど)を吸い込むことにより、気管支粘膜でアレルギー性炎症反応がおこり、発症します。つまり、ぜんそくは、「気道の慢性アレルギー性炎症」がおこっている状態と考えられております。気道の慢性炎症により、気管支が敏感(つまり、気道の通り道が突然収縮し、せまくなり、苦しくなりやすい状態)になると、冷気を吸ったり、走ったり、大騒ぎしたり、大泣きしたりだけで、咳、ぜんめいが出現したり、感冒の際にぜんそく発作が生じたりします。

気管支ぜんそくの診断は

まずは、ぜんそくに似たような症状を起こす病気を否定します。ぜんそくを疑う症状を繰り返すこと、アトピー素因(アレルギー素因)の有無、アレルギーの家族歴、いろいろな検査(アレルギー検査、呼吸機能検査、呼気中NO濃度測定)、発作時の薬への反応性などを参考に診断していきます。

気管支ぜんそくの治療

近年のぜんそく治療の進歩、ガイドラインの普及などにより、より良い治療を行えばほとんどのぜんそく患者さまがその症状で困ることがないレベルまで症状を抑えることができ、かつ薬の副作用もほとんどなく過ごすことができます。

治療は大きく二つに分けて考える必要があります。

  1. ぜんそくを起こさないようにするための気道炎症を改善する治療(いわゆるコントローラーと呼ぶもの)
  2. 発作が起こってしまった時の治療(いわゆるリリーバーと呼ぶもの)

この二つに分けて考えます。

1.コントローラー(長期管理薬)について
ぜんそくは、発作のないときにも気管支では24時間365日、炎症が起こっております。このぜんそくの本体である炎症を治療して発作をおこさないようにすることがぜん息治療の目標であり改善につながります。毎日毎日の積み重ねが大事ということになります。
長期管理の基本は、環境整備、薬物療法です。

  • 環境整備→気道炎症の原因となるものを調べ、取り除きます(アレルゲンやたばこの対策など)。
  • 薬物療法→気道の炎症を抑える、いわば火消し役となる薬です。ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、シングレア、キプレスなど)や吸入ステロイド(フルタイド、オルベスコ、パルミコート、アドエア、シムビコート、レルベアなど)が現在主役となっております。

2.リリーバー(発作治療薬)について
ぜんそく発作とは、気管の通り道が急に狭くなることになることにより、咳がひどくなり、ヒューヒュー、ゼイゼイという音が鳴り、呼吸が苦しくなった状態です。その際には、気管の通り道を急速に広げる薬が有効であり、そのことにより呼吸が楽になり、咳が緩和されます。β2刺激薬(メプチン、ベネトリンなど)の吸入・内服が速やかにその作用を発揮するために使用されます。

当院で考える治療のポイント

1)ぜんそくのおもさと治療のバランス
ぜんそくの患者さまでも間欠型と言われる軽症の方からほぼ毎日発作が起きてしまう最重症持続型と言われる方まで、その程度は人それぞれ異なります。一般的に小児ぜんそくにおいて、日本では諸外国と比較して、吸入ステロイドの使用量が少ないことが指摘され、近年日本でも吸入ステロイドは急速に普及し、ぜんそくの患者さまが快適な生活を送れるようになってきております。しかしその反面、ステロイド吸入が必要以上に使用されてしまうことがないようにわれわれ医師は気を付けていく必要があると考えます。

2)吸入治療について
ぜんそくの治療でステロイド吸入を実施する場合には、吸入指導は必要不可欠とされております。吸入指導を行わずにステロイド吸入を行うと、吸入ステロイドの作用が十分に発揮されず、副作用の頻度が高まる恐れもあります。また、吸入を毎日、日々施行していると、吸入の基本が徐々におろそかとなることも多々見受けられます。時々は、吸入手技の確認作業を行う必要があると考えます。

3)定期的な治療の見直し
小児ぜんそくの重さは一定でなく、ゆっくりではありますが、変化していきます。また、年齢によって使用できる薬、吸入の仕方なども変化していきます。親御さまと共に日々の状態の変化を観察し、その時その時のぜんそくの重さ、年齢、ライフスタイルなどに応じた治療を日々見直していく必要があると考えます。

4)生活習慣
ぜんそく発作を防ぐためには、普段の生活を今一度見直す必要があります。家の中をこまめに掃除してハウスダストを減らし、じゅうたんや布製のソファ、ぬいぐるみなど、ダニの温床になりやすい環境を無くして、アレルゲンを排除することが重要です。
成人ぜんそくでは、過労やストレスは、ぜんそくの大きな誘因になるので、疲れた時はあまり無理をせず、十分な休養と睡眠をしっかりとることを心がけてください。アルコールやたばこは、気道の過敏性を高め、炎症を悪化させる原因になるため、極力控えたほうがいいでしょう。

アトピー性皮膚炎

診断は

  1. 皮疹に痒(かゆ)みがある
  2. ほぼ左右対称性の部位に認める湿疹
    (年齢による特徴)
    乳児期: 頭、顔にはじまり、しばしば体幹、四肢に下降していく
    幼少期: 頸部、四肢関節部で目立つ
    思春期・成人期: 頭、頸部、胸、背などの上半身で湿疹が目立つことも多い
  3. 経過が長く、反復する、短くても数カ月以上の経過
    上記の三つの条件を満たし、更に、類似した皮膚の病気(接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、汗疹、手湿疹、皮脂欠乏性湿疹、皮膚リンパ腫など)を否定し診断します。

治療は

当院ではガイドラインに準じた標準治療、治療の3本柱(①悪化因子探しとその対策②スキンケア③軟こう療法)を基本とします。
①悪化因子は採血などで検索し、その対策を立てます。
②正しい入浴と保湿を毎日行うことにより、ステロイドの使用量を減らすことができます。
③軟こう療法の基本は、ステロイド軟こうとタクロリムス軟こうです。炎症の程度強い間は、ステロイド軟こうで皮膚の炎症を抑え、その後、タクロリムス軟こう(あるいはステロイド軟こう)を間欠的に塗布する治療でコントロールします。
その他、抗アレルギー薬、漢方薬などを併用することもあります。

アトピービジネスなどに惑わされないことが大事です。

Itch scratch cycle(痒み-掻くの悪循環)を断ち切ることも大事です。
アトピー性皮膚炎の患者さまは、痒い(かゆい)ために皮膚を掻(か)きます。しかし、掻くと湿疹は悪化し、悪化するとさらにかゆくなるという悪循環をItch scratch cycleと呼びます。この悪循環から抜け出すために、有効なツールがタクロリムス軟こうやステロイド軟こう。

かゆみ かゆみと掻破の
矢印 右
悪循環
掻破
矢印 上
  矢印 下
皮膚病変の惹起 矢印 左 炎症
  矢印 下 湿疹が良くなり、このサイクルから抜け出すと
再びこの悪循環のサイクルに入らないように、予防が大事となります。季節や年齢に応じた皮膚の日々のケア、保湿剤などにより皮膚にうるおいを与える、さらに悪化因子を調べ、それを取り除くことなどが大事です。
矢印 下
日々皮膚の状態は変化していきます。定期的な診察の中で、その時々の皮膚の状態、季節、体調、年齢などに応じて、治療法を医師と共に相談していきましょう。根気強く、粘り強く治療を行っていくことが大切です。

ニキビ

「ニキビかもしれない」と気づいた時点でご相談ください。

早く治療したニキビは、きれいに改善しやすいので、早期治療が大切とされています。
また、赤くなって化膿したから手遅れということはありません。できるだけニキビ痕(あと)にならないためにも、早めにご相談ください。

ニキビの原因

  1. 10代後半の思春期になると、男性ホルモンの影響により皮脂の分泌が盛んになります。
  2. 毛穴の出口の皮膚に異常が起こり、毛穴がつまります。
  3. 皮脂が毛穴に詰まり、白や黒のぶつぶつしたもの(白ニキビ、黒ニキビ)ができます。

矢印 下

  1. 毛穴に、アクネ菌が増殖します。
  2. アクネ菌により毛穴の周りに炎症が起こり、赤いぶつぶつしたもの(赤ニキビ)ができます。

矢印 下

  1. 炎症がますますひどくなります。
  2. 毛包の組織が破壊されます。
  3. にきびの治った痕が残ってしまいます。

ニキビの治療

皮膚科の先生により2008年にニキビの治療ガイドライン(指針)ができました。このガイドラインでは、ニキビを重症度別にわけて治療方針を立てること、また、標準薬の外用レチノイド、抗菌薬といったお薬が推奨されています。

スギ花粉症、ダニ・ハウスダストアレルギー(通年性鼻炎、ぜんそく)に対する舌下免疫療法(保険診療で治療できます。)

当院では5歳以上~成人の方を対象に実施しております。

1. 舌下免疫療法とは
スギ花粉あるいはダニ・ハウスダストの成分を口から毎日入れることで、スギ花粉あるいはダニに体が慣れ、スギやダニ・ハウスダストが体に侵入してきても、アレルギー反応が生じなくなります。スギ花粉症、ダニ・ハウスダストアレルギーの体質を根本的に改善できる可能性があります。国内では平成26年10月から保険適応になりました。

2. 適応
スギ花粉症あるいはダニ・ハウスダストアレルギーと確定診断(血液検査など)された方。ぜんそくの方では、小児では9割の人に、成人では半数の方にダニ・ハウスダストアレルギーが関与しております。また、以下の人はできません。
○5歳未満の方
○重症の気管支ぜんそくの方

3. 治療作用・副作用
すべての人に治療作用があるとは限りませんが、約8割の人は有効とされております。2割が完治、6割が症状改善、2割は作用なしという結果がでています。副作用は、ごく軽微なことがほとんどです。

4. 治療期間
始めたら3~5年毎日治療の継続が必要です。

5. 治療開始時期
スギ花粉症の免疫療法は、スギ花粉飛散時期には始めることができません。毎年5月下旬~12月くらいに治療を開始するのが望ましいです。

6. 通院頻度と費用
初回診察では、スギ花粉症・ダニ、ハウスダストアレルギーであることを確認します(過去のアレルギー採血データがあれば持参ください)。当院では安定したら月1回~3カ月に1回程度通院いただき、3割負担の方では、薬+診察代金で約2,000円/月(スギ花粉症の場合)、約2,700円/月(ダニ、ハウスダストアレルギーの場合)です。

長引く咳にご注意

咳ぜんそく(せきぜんそく)とは?

咳ぜんそく(せきぜんそく)は、気管支ぜんそくのような喘鳴(ぜんめい)は見られない症状です。その名前も咳を主症状としたぜんそくだからです。気管支ぜんそくの初期の症状と考えられています。

「夜になると出る」「季節によって出る」などの傾向があることもあります。原因は花粉やハウスダストや温度差などでアレルギー症状が原因とされています。慢性化すると治療が難しくなるので早めに治療を開始するのが重要です。

症状

咳嗽(がいそう)が就寝時や深夜、早朝に悪化しやすい。
中には昼間のみ症状がおこる場合もある。
また、季節によって症状があらわれることもたびたびある。

喀痰(かくたん)を伴わないことも多いが、喀痰を伴う湿性咳嗽(しっせい)の場合もある。
咳ぜんそくでは喘鳴(ぜんめい)は聴取されない。

診療科目・検査

3~4週間以上持続する遅延性咳が出現した場合には呼吸器内科を受診する。
受診が遅れると再発を繰り返し、ぜんそくに移行することがある。呼吸機能検査では末梢気道閉塞(まっしょうきどうへいそく)が認められる。
血液検査ではアレルギー反応が陽性のことが多い。

原因

上気道炎、冷気、運動、受動喫煙を含む喫煙、雨天、湿度の上昇、寒暖差、花粉や黄砂の飛散。

治療方法と治療期間

軽症では吸入ステロイドを使用し、中等症では吸入ステロイドに気管支拡張剤を追加する。

重症ではさらにステロイド剤の内服を追加する。最低用量(中用量の半量)まで減量できて無症状なら、中止を考慮してよい。
ただし,再燃の可能性を考えて2年間位は治療する。

治療の展望と予後

治療作用が十分あるので、呼吸器内科を受診する。

発症しやすい年代と性差

明らかな数や性差は不明。

編集部脚注

※1咳嗽(がいそう)

咳嗽は、咳のことです。
痰(たん)を伴わない乾いた咳を「乾性咳嗽」、痰の絡んだ咳を「湿性咳嗽」と呼びます。

※2喀痰(かくたん)

喀痰は、痰のことです。
咳をしたとき、喉の奥から出てくる粘液状の物質です。

※3喘鳴(ぜんめい)

喘鳴は、呼吸に伴う雑音です。
「ゼェゼェ」「ヒューヒュー」などの音で、聴診器がなくても聞きとれます。
気道が狭くなったときに、喘鳴が見られます。

※4上気道炎

上気道炎は、基本的に「風邪」を意味すると考えて構いません。
上気道は、気道のうち「鼻から喉まで」を指しています。
上気道の炎症は大部分がウイルス性で、「かぜ症候群」と総称されます。
一方、「喉から肺まで」は「下気道」と呼んでいます。
炎症が下気道に及ぶと、気管支炎⇒肺炎と悪化する恐れがあります。

※5末梢気道閉塞(まっしょう-きどう-へいそく)

末梢気道閉塞は、「気管支の末端が塞がった状態」です。
まず、末梢気道の定義は、「内径(空気が通る空洞の直径)2mm未満」の気管支です。
このような末端の気管支を「小気管支」「細気管支」などと呼んでいます。
ガス交換(酸素と二酸化炭素の交換)を行っている肺胞のすぐ近くに位置します。
末梢気道が塞がると、そのぶん、呼吸の効率が低下します。
とはいえ、一部の末梢気道が塞がったくらいでは、ほとんど変化ありません。
しかし、慢性的な炎症で閉塞箇所が増えていった場合、長い年月をかけて肺機能が低下します。

参考サイト
日本呼吸器学会咳嗽ガイドライン第2版(PDF)

※PDF形式の文書をご覧いただくには、Adobe® Acrobat Reader(無料)が必要です。
お持ちでない方はこちらから入手できます。※外部サイトへ移動します。